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夜の夢、深い夢 夢を見ていた。 それはとても、悲しい夢だった。 込み上げる衝動を抑える術を知らなかった。 沸き起こる感情を消し去るべきかどうかすら分からなかった。 風が吹けば舞いあがる 淡き儚き花びらよ ディアが目を覚ますと、まだ夜中。 大きく息を吐き、そして吸う。 自然に満ち溢れたこの村ならば、肺いっぱいに空気を送り込んでも問題はない。 押さるるままに流されて 圧せずゆらめき駆け登る 荒れた呼吸は正常に戻ったものの、大きな心音は絶えず全身を支配している。 寒いわけでもないのに、震えが止まらない。 せつない夢だった。 血の引いてゆく音が聞こえると感じられるほどに。 思考が途切れ、ただ一つの想いで満たされるその姿は、どれほどこっけいなのだろ う。 枕は薄く染まっていて、冷たい。 再び眠りにつこうと試みても、どうしたって眠れそうもない。 この夢の後はいつもそうだ。 時は弥生のつごもりなり 寝返りを数回打っていると、隣の人がうっすらと目を開けた。 震えが伝わってしまったのだろうか。 窓からの月明かりで微かに見えるハヤトの顔は、とても澄んでいた。 「ん、どうした?」 ディアは慌てて首を横に振る。 ふわりと散るは白き花びら 小さなそれは湖へ ハヤトには家庭の事情は一通り話していた。 けれど、触れられたくない部分がなくなったわけではない。 夫婦となった今ですら、眠れぬ夜は尽きることもない。 沈黙を破ろうとしないディアに、優しく笑いかけた。 「不安なのか?」 その声は穏やかで、びくりと震える。 心を感じ取られた嫌悪感はないものの、酷く悲しかった。 哀しかった。 こんなにも愛しい人が側にいてくれる。 それ以上、自分はなにを望んでいるのだろう。 だが、 疾風に混じり、春風受けて 水面へ舞い降り輪を作る ハヤトは不器用に笑い、抱き寄せた。 「ここにいるぞ」 …そうだ。 それを望んでいたのは遠い過去。 それを夢見ていたのは以前の自分。 今の私は、もう――大丈夫だ。 過去の夢は夢のままでも、夢見た現(うつつ)はここにある。 花びらよ、水底に向かえ いざ落ちよ 深い夢へ ハヤディア夏祭りに参加してきました。 |
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