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あなたに出逢えたしあわせを それは小さな恋の唄 第十話 くすぐるような音が聞こえてきた。 鉱石場に向かっていた足をUターンさせ、軽い足取りで近づいていく。 大きな大きな木の下で、ライラは一人歌っていた。 「あら」 こちらに気がつき立ち上がろうとするのを慌てて制する 「駄目だよ、急に動いちゃ」 優しい笑顔で諭しながら、横に座った。 木の下から見上げると、そこには大空。 白い雲がふわふわ移動していて、まるで夢の中にいるみたい。 「良い天気だね」 当たり障りのない世間話も、大切な思い出の一つとなる。 ライラは小さく頷き、豊かに膨らんだお腹をなでた。 「この子にも見せてあげたいですわね」 自分の体内に在る、もう一つの命。 なにを思っているのだろう。 なにを考えていくのだろう。 早く、会いたいね。 「男の子かなあ。それとも女の子かな?」 都会の設備で調べれば分かるようだが、花の芽村に超音波なんたらかんたら…なんてものは存在しない。 それに調べられたとしても、産まれてからのお楽しみにとっておくのも良いだろう。 「元気な子が産まれてきてくれれば、それ以上のことはないと思いますわ〜」 体が丈夫なら生きていける。 健康は、とても大事なこと。 「元気じゃなくても良いよ。幸せになってくれれば」 例え、なんらかの障害を抱えていたり、精神的に追いやられることがあったとしても。 全力で支えよう。 守りぬこう。 時には共に悩み、闘おう。 親は子の幸せを願い、惜しみない愛情を注ぐ。 子は親を見て育ち、生命は糸のように紡がれていく。 愛されて育った人は、人を信じ、人と交わり、幸せの羽衣を纏い生きていく。 「ねえ、ルーン」 振り向けば、ほら。 幸せはすぐそこに。 「私、あなたに会えて幸せよ」 生まれてきたことが、こんなにも嬉しい。 両親に感謝、だね。 爽やかな風が二人を包んだ。 もうすぐ、春。 「それは〜」は、この二人のために書かれたものなんです。
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