わずかな変化も見逃さず
全てこの目に焼き付けて


それは小さな恋の唄  第七話



本日の出荷第一回目を終え、再び青空牧場に戻ってきた。

ここの動物はみな素晴らしい。
自分もいつかこんな牧場を持ってあんなことやこんなことを――。

未来への想像は膨らむばかり。

彼とてお年頃…むしろ適齢期である。
結婚願望もあるし好きな娘の一人や二人いたって不思議はない。

第二回目の出荷はないかと動物小屋に入ると、そこには金髪ポニーテールの幼馴染み。

「サラ、珍しいな。どうしたんだ?」
「最近馬と触れ合ってなかったからさ、ちょっと会いたくなって。クリフガード、相変わらず毛並つやつや!さすがだね」

すりすりと頬を寄せて抱き締めると、答えるようにクリフガードは嘶(いなな)く。
なんだかもう、完全に二人の世界。

なんだか少し、癇に障る。
腹の中がこう…むかむかして――二日酔いだろうか。

「乗るか?ブルーに頼んでみる」

カザンの提案を断る理由は見つからず。
赤い瞳を輝かせ、さらにきつく抱き締める。

首が締まって苦しそうだったクリフガードに同情しつつ、カザンは動物小屋を後にした。


■■■


ブルーの許可をもらい、やってきたのは静かな浜辺。
ここなら思いきり走らせても大丈夫だろう。

慣れたもので、サラはひょいっと背に乗る。

「よしよし、良い子だね」

乗馬に大切なのは馬との一体感。
心が一つになった時、最も心地よい走りとなる。

久しぶりに人を乗せ、少し興奮気味のクリフガードを宥める。

大体安定してきた。
よし、じゃあそろそろ。

「行くよっ!」

わき腹を蹴って、勢いよく駆け出した。
少し離れたところでカザンは見守っている。

馬は良い。
馬の上から見えるのは、地べたを歩いていては体感できない、素晴らしい世界だ。

この疾走感!
この爽快感!

これだから乗馬はやめられない。
生の息吹を直に感じられることが、他にどれだけあるだろう。

眩暈すら覚えそうだ。

「ヒヒーン!!」

前方に、珊瑚の大群発見!
回避せよ!

――感覚に酔っていたサラが気がついても、今更ゆっくりと減速できるわけもなく。

クリフガードはぎりぎりのところで止まったが、慣性の法則により乗り手はあらまあ。
吹っ飛びはしないまでも、横にずり落ちた。

「サラ!大丈夫か!?」

慌てて駆けて来る幼馴染み。
油断していた自分が、少し恥ずかしい。

尻餅をついていたところに手をさしのべられる。
別に一人でも立ち上がれるが、こういう時の好意は嬉しいもので。

自分の右手でぎゅっと掴む。

「あれ?」
「…?どうした?」

違和感があった。
なにかとても大きな。

これは、なんだ?

「…いや、なんでもない」

そういうとカザンはぐいっと簡単に引っ張って――分かった。

小さい頃から一緒だった幼馴染み。
彼は……今まで気がつかなかったけれど、実は男の人だった。



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クリフガードって64にもいるらしいですね。何歳なんでしょう。



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