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ティートは見せたかったものがある。 「続きまして、こちらがリオン牧場になります。この牧場のウリはなんといいましても農耕と牧畜のバランスの良さでして、牧場主の几帳面な性格が現われております」 団体観光組が最後に辿りついたのはリオン牧場。 『人と交わる』第一歩として、リオンは牧場を開放してくれた。 「ちなみに、このケーキの材料は全てこの牧場で作られたものです。食べ放題なのでお好きなだけどうぞー!」 一見恐そうなケルベロスに子供達が群がっている。 農作業や家畜の世話を体験している人がいる。 奇妙な配色の家を眺め、どこからともなくスケッチブックを取り出した人もいた。 「どうだ?本日の感想は」 家畜に悪戯されたりしないよう、目を光らせていたリオンの隣に並ぶ。 複雑そうな表情をしているところを見ると、良い経験になったのかもしれない。 以前なら「最悪だ」の一言で終わっただろう。 自分が大切に育てた動物を、あんな――慈しむような目で見つめられたら悪い気はしない。 ティートはこれまでにあったことなどを一人でつらつらと話している。 リオンはある衝動に駆られた。 とても晴々とした瞳で話すから。 以前と違うところを見てるから。 アイツのように、遠くに行ってしまうようで――さみしい。 「…おまえ、楽しいか?」 訊きたくて訊きたくて仕方がなかった。 今となっては、訊くまでもないことだけれど、それはどうして。 「今は楽しくても、この先どうなって行くかも分からないのに……」 きつくこぶしを握り締める。 寂しくて、それがなんだか悔しくて、悲しい。 「お前はどうして、そんな風に笑うんだ。笑えるように、なったんだ…っ」 ほら、また。 そんな風に笑うんだ。 凄く優しい目で笑うんだ。 ティートに肩を叩かれる。 安心しろと語りかけるように。 「前はさ、いずれ離れる時が来るなら、深く人と交わるのなんて辛いだけじゃないのかって思ってたんだ」 大空を仰ぎ見れば、澄んだ青色をしていた。 「でも、そうじゃなかった。お前のおかげでそれが分かったんだ。一途に女神様を見てるお前は、綺麗だったよ」 突然、石になってしまって、話すことも叶わない。 そんなリオンの我武者羅な頑張りを、ティートは見ていた。 とても一生懸命で、あんなにも好きになれるものがない自分を恥じた。 世渡り上手でやりくり上手、けれど本気というものを知らなかった。 それは、失うことを恐れていただけだった。 なくした後にどうなるか、考えるのが怖かった。 恥じることなく一心に女神様を求めるリオンは、醜くなんてなかったんだ。 人と交わるべきは、自分だったんだ。 「例え思い出になっても、その日々は永遠だから。だから精一杯生きようって、そう思えたんだ。もし取り戻すことが出来るなら、頑張れば良い。ただそれだけのことだったんだ」 そんな話が書きたかったんです。 |
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