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「もうっ、しつこいわね!私忙しいの!」 ケティの怒鳴り声と、男のいやらしい声。 『お見合いに来たどこの馬の骨とも知れない男がケティを口説いているに違いない!』 シンは慌てて振り返った。 …っておい。 「良い加減にしてよ!ちょっと、ダン!?」 朝っぱらから酔っ払ったダンがいた。 歯をキラリとさせて、 「怒った子猫ちゃんの顔もキュートだな!でも俺は笑った顔が見たいんだぜベイビー☆☆☆」 とかなんとか、口説き文句も普段の三倍にくささがUPしている☆☆☆ あまりの凄さに一瞬我を忘れて呆けたが、これはいけない。 彼女が困っている時に助けてあげられたなら、それは彼氏の名誉となるだろう。 「おい、ダン!お前――」 「OH!YOUは子猫ちゃんのBOY FRIENDじゃないかい?」 もはやキャラが違うダンに突っ込むものは、その場にいなかった。 触らぬ神にたたりなし。 酔いしダンに一利なし。 「今日から子猫ちゃんはMY FIANCE(婚約者)さ!」 ガバッと抱きしめる。 プチッ。 「子猫ちゃんは俺と愛の逃避行に旅立つんだぜ。新婚旅行は南の島にしような、ハニー!」 ほっぺに接吻。 ブチビチッ。 シンは叫ぶ。 「何勝手なこと言ってんだ!ケティは俺の彼女!俺が結婚するんだーー!!」 ふいに野次馬。 「じゃあここで結婚申し込める?」 シンは真剣に考え込んでしまう。 別に答える義務はなかろうに。 「いや…それはやっぱ俺がもっと自立しなきゃ駄目だし、ケティだってまだ家庭に入るような年じゃないし……って何言わせるんだよ、ティート」 きちんと見てみればそこには、マイクを持ったティートと大勢の観衆。 「皆さん、そんなわけです。今すぐにでも結婚したいという切実な方も、合コン気分で参加したというまだ身軽な方も、ほんっと恋って一生懸命で良いですよねー!」 いいともー!みたいなノリでシンをネタに使っていたようだ。 ダンはケティを解放し、「冗談だ」と小さく笑った。 「相手の気持ちや事情を思いやることを忘れずに、後半戦も頑張ってください。これより午後の部のスタートです!ご自由に観光してください」 シンの絶叫と心の声に触発されたのかどうかは分からないが、お見合いに参加した男女は気持ちも新たに元気良く広場から出て行った。 残されたのは、約四名。 「…どういうことなんだよ」 若干苛立ちを含みつつ、シンがティートに詰め寄る。 「違うの!シン、ごめんなさい。私がいけないの」 万が一にでもシンが手をあげたりしないよう、二人の間に入り込む。 すがるような視線で見つめられたら、反抗できない。 「私が、ティートにね、『シンと付き合ってもう結構経つのに、結婚の話の一つも出て来ない』って愚痴ったから、だから多分こんな……」 ケティが振り返ると、ティートは苦笑しつつ頷いた。 ティートの独断とダンの協力のもと強行された、村長にも知らせてない企画だった。 「シン、ごめんね。私何にも考えてなくて、まだまだ子供だわ。もっと大人になったら、その時はお嫁さんにしてね」 逆プロポーズもどきをされて、シンの顔は真っ赤。 部外者二人は静かにその場を立ち去った。 何も言わないでください……。 |
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