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「お前さん達に一つ、聞きたいことがある」 そう言われたのは、計画も中盤に入ってきた夏のある日。 この村でも年長組に属すテリーは、猟銃を懐に抱える狩人。 自然の厳しさと優しさを熟知した、ベテランだ。 ティート、シン、レイフの三人を目の前にして一瞥する。 「お前さん達は、“釣り”というものをどう考える?」 抽象的で全体的。 どういうことですか、と目で訴える。 「極端な話、『魚の命を奪うということに楽しさを感じる』のが釣りを楽しむということじゃな。そこのところに対するお前さん達の考えを聞きたい」 本当に、極端な話。 真っ先にティートが口を開く。 「生き物は食物連鎖によって成り立っています。人間が、自分自身が生きるために他の生物の命を奪うのはやむ終えないことですよね」 食物連鎖――命の連鎖。 遠い遠い昔、なんらかの原因で生まれた命というもの。 それが長きに渡ってここに在るのは、一重に他の生を奪った結果。 うむ、と頷き、シンに目線を移す。 「…おっ、俺もティートと同じですよ。食べる分しか釣らないし……」 年長者の重厚な雰囲気は少し苦手。 多少もたつきながらもなんとか回答する。 「……オラは」 最後に辿り着いたのはレイフ。 釣りが、釣りだけが生き甲斐で、魚は愛おしい存在。 『魚の命を奪うということに楽しさを感じる』とまで言われてしまっては、動揺が隠せない。 必要な分しか捕らない?――イエス。 食べる分しか釣らない?――ノー。 ヌシは食べても大抵美味しくない、自分だけではあの量を食べきれない。 魚が好みそうなエサを探し出して、竿に付ける。 後ろに持って行って、勢いよく前へ。 しなる感触は良い感じ。 アタリが来るまではひたすら辛抱。 ちょこちょこ動かしてみたり、自分で調合した蒔きえを投げたり。 来た瞬間、心臓が飛び跳ねる。 落ち着いて、落ち着いて。 リールを巻いて、水面がキラリと光ればもうすぐそこに。 そんな釣りは、生命がどうこうとか、そんな次元ではもはや語れない。 楽しくて、面白くて。 大物が釣れた時は本当に嬉しくて、これ以上の快感を知らない。 テリーの問いに答えられない自分自身が歯痒い。 こんなにも、釣りが大好きだから。 短いにもほどがある気がする今日この頃。 |
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